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境にやさしい養液栽培の開発

生物資源環境科学科?准教授 佐合 悠貴

 水に肥料を溶かした養液を与えて植物を栽培する養液栽培は、与える水や肥料の量を状況に合わせて自由にコントロールできるため、作物の生産性や品質を大幅に高められる技術です。環境を制御しながら植物を育てるハウス栽培や人工の光で植物を育てる植物工場において欠かせない技術になっています。

 一方で、植物が必要とする水や肥料の量は、時々刻々変動する気象に左右されるため、養液栽培現場では養液を必要よりも多めに与え、余った分を捨てています。これは、余計なコストになるだけでなく、肥料分が河川や地下水に流れると、環境悪化の原因となります。そこで、植物が必要とする水と肥料の量を、気象データをもとに計算できる数式モデルを作成しました。このモデルを応用して、気象の変動に合わせて過不足なく養液を与えるシステムを開発することで、養液の廃液を発生させず環境にやさしい養液栽培を実現したいと考えています。

ココヤシの殻を原料にした養液栽培用の人工培地にナスの根が張る様子。気象や培地に刺したセンサーなどのデータをもとに、植物の根が吸収する水や肥料の量を計算できる数式モデルを開発しました。

有機性廃棄物由来の肥料で養液栽培しているイチゴ。化学肥料と同等の収量や品質でイチゴやトマトを栽培できることを確認しています。

 また、養液栽培では主に化学肥料が使われており、有機肥料はほとんど使われていません。養液栽培の培地や養液には、有機肥料に含まれる成分を植物が使える成分に分解する微生物がほとんど含まれておらず、うまく育たないためです。また、有機肥料は成分組成が不安定で、与える水や肥料の量を適切にコントロールすることは化学肥料よりも難しくなります。そこで、植物が必要とする水と肥料の量を計算できる数式モデルをもとに、食品などの都市から出る有機性廃棄物由来の肥料で安定的に栽培できる環境にやさしい養液栽培システムを開発しています。

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